子育てをしていると、子供をしからなければならない場面が本当に多くあります。
当たりまえですが、この「しかる」という行為は、親にとっても子供にとっても楽しい時間ではありません。
無ければ無いに越したことはありませんよね。
ところが「悪魔の2歳児」とよばれる頃や、小学校に入学した後、思春期などは、自我の芽生えとともに親に反発する時期でもあります。
この時にあまり「いい子」すぎると、その反動なのか、将来道をそれてしまったり、社会に適応できなくなってしまったり、あるいは精神的な障害を持ってしまったりする、という意外な統計も報告されているようです。
そこで、ここでは、みなさんとともに本当にしからなければならない場面や、効果的な叱り方などを考えていきたいと思います。
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そもそも、何のために叱るのか。子供を叱る目的
叱るというのは、親・子供、双方にとって楽しい行為ではありません。
それなのに、なぜ、あえて叱らなければならないのでしょうか。
叱る理由にはいくつかあります。
たとえば、
・わが子が他人や他人の所有物に危害をくわえてしまうから。
・わが子の人生に不利な状況となってしまうから
このようなケースが考えられます。
つまり、我が子を思いやり、守ろうとする親の愛情から、叱るという行為は行われます。
ところが、現実には、そればかりではなありません。
親の都合や感情、ストレスのはけ口として叱ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
叱る目的を明確化して6秒の間と深呼吸
もし、叱る目的が『我が子を守る』ということであるならば、「叱る」前に、今「叱る」こと、「叱る」方法などが、適切であるか、親は考える必要があります。
叱ることが、この『我が子を守る』という目的に合っているでしょうか。
これは、とても難しいことです。
親も完璧な存在ではありません。
もちろん、聖人君子でもありません。
ただの人の子なのですから、叱らなければならない場面で、怒りや悲しみ、恐怖などという負の感情が沸き起こってしまうことも多いのではないでしょうか。
もちろん、自分の精神を自由自在にコントロールできる特別な訓練を受けている人なら別ですが、そんな訓練を受けた人なんて稀ですよね。
だからこそ、叱る前に6秒間待って、深呼吸をしましょう。
一般的には、怒りや悲しみなどの負の感情のピークは、それらを生み出す原因が発生してから6秒間持続するといわれています。
つまり、これらの感情は6秒をすぎると、徐々にではありますが下降していくんです。
このことから考えますと、子供に対して「しかる」ときは、この6秒の間に行うと、冷静さを欠いたものとなる危険があります。
だからこそ、深呼吸をして一息入れるわけですね。
たとえば、その場を離れて椅子に腰掛けて、子供も椅子に座らせるなど、どうということのない、なんでももない行為を1つ挟むだけで、親も子供も冷静な感情を取り戻すチャンスが得られることになるのではないでしょうか。
この時、溜息のような大きな深呼吸ができれば、さらに効果的です。
日本ではため息をあまり好ましく思わない傾向がありますが、医学的に、ため息は、一瞬にしてストレスを緩和できる方法とされています。
そして、今度は「しかり」始める前に、「しかる」目的と今から始める「しかる」方法が合っているのかを確認して、「しかる」作戦をたててみましょう。
「しかる」目的が『我が子を守る』ことであるなら、「しかる」ことによって我が子から反発されてしまったり、理解や納得させられなかったら目的が達成できないことになってしまい、かえって逆効果となります。
そこで親は、舞台で演じる俳優さんや女優さんのように、あるいは、スパイ映画の中の有能なスパイになりきり、『親』という役になりきったつもりで、綿密な作戦をたてて、『我が子を守る』あるいは、我が子に理解や納得をさせるというミッション=使命を、コンプリート=達成させなければなりません。
しからなければならない場面では、子供の自我が表れている場面ですから、この時に親が自我を出して応戦したなら、結果的にぶつかり合い、どちらが強いかというパワー争いとなってしまいます。
これではその場は収まるかもしれませんが、子供は理解も納得もしていませんから、同じことを繰り返すこととなり、結果的に『我が子を守る』という親のミッションは達成することができません。
改善方法を提示する
「しかる」必要がある場面に出くわすということは、ネガティブに悲観するばかりの場面と捉えてしまいがちですが、願わくば親は、このような時に、チャンスと捉えていただきたいものです。
子供はその理由が何であるにしろ、何かを解決しようとして、その解決方法を自分なりに考えておこなったということですから、ある意味では、自分なりに物事を考えトライしたという喜ばしい成長でもあります。
ただ、その解決方法に誤りが誤りであったり、最善のものではなかったりした、というだけのことなのです。
これは、何も考えず、ただただ従うだけの子供より何倍も良い傾向だと考えて良いかと思います。
そこで「しかる」ことによって、子供がとった行動や方法が最善なものではないこと理解や納得させたとしても、それだけで親は仕事をはたしたとホッとしてはいけません。
本当の親としての仕事はここからなのです。
それは、最善の解決策を示すことです。
これはとても難しいミッションになります。
まだ子供が小さなうちは、例えばお砂場などで、他の子供の玩具が欲しいと思った子供が、無理やり玩具を奪ってしまうとき。改善策として「かして。」と言って、「いいよ。」とかしてくれたら、その玩具で遊ぼうね。などと比較的簡単に改善策を示すことができます。
しかし、子供の成長にともない、親であってもわからないことだらけで、自身を持って改善策を示すことができないこともあります。
そのようなときは、わからないこと、あやふやなことを親も認め、それを子供に伝えて一緒に調べたり、話し合ったり、時には専門家に共に相談するなど、今度はわからないことなどへの対応の仕方を示してあげればよいのです。
成長した子供は、完璧であると思っていた親が、完璧でなかったことに少なからずショックを受けるはずですが、それ以上に自分自身が親に近づいていること、そして親が時間や労力を割いて、一生懸命に自分の問題に向き合ってくれることを、必ず喜んでくれるはずです。
そしてそんな親に改めて信頼をよせるはずです。
年齢別の効果的な叱り方
2歳までの叱り方
2歳までの子供の場合、脳の機能は殆ど大人と変わらないほど発育していますが、神経系や筋肉系が未発達なため、自分が思っているとおりに体を使うことができません。
そこで、上手にしゃべれない、上手に食べられないなどの不満が生まれます。
さらに「悪魔の2才児」とよばれるように、何をしても、何を聞いても「イヤ!」と答え、できないのに「自分で」という親にとって喜ばしくも、困り果ててしまう時期になります。
この時にできないことをしかることは、行わないでください。
それよりもどうしたらできるかを考え、上手に食べられなければ、上手に食べられるスプーンやフォークを用意したり、こぼしても床に落ちないような工夫をするなどして、上手に食べられたときには、その都度その都度褒めてあげてください。
また、しゃべれないのは、発声や口を動かす機能が発育していないだけで、早い子であれば、親が話す言葉の殆どを理解しています。
そこで、できるだけゆっくりと、わかりやすい話し方で説明してあげれば、それを理解できます。ただ、理解はしていても親の言う通りにしたくないというのも「悪魔の2才児」の特徴でもありますので、根気強くなる、辛抱するのが親の対抗策となるかもしれません。
3〜4歳の叱り方
このころは、まだまだ自分が世界の中心で、他人との関わりやコミュニケーションという概念が理解できていません。
そこで、自分勝手な行動をおこして叱られる場面が多くなります。
このころになると、殆どの子供が親の言葉を理解していますから、理解をさせ改善を示すことでそれができるようになります。
しかし、まるで鶏のように、3歩あるけば理解や納得したことを忘れてしまうのも、この頃の特徴です。
そこで、一度言ったことを何度も繰り返すと思って悲観されずに、何度でも、何度でも繰り返し言って上げるという覚悟を持って接してあげましょう。
そんな覚悟を持てば、我が子の突飛な発想や、できるようになった時を大いに楽しむことができるはずです。
5~7歳の叱り方
体力も向上して、体もある程度動くようになるこの頃になると、ほんのすこしだけ親から離れたいと思い、また異性に対して興味を持つ、すだちの練習の第一段階となります。
5歳~7歳になると、他の人に対して感情移入することができるようになります。
そのため、叱った理由を説明するだけでなく、「おもちゃを取られちゃったら、〇〇ちゃん、悲しい気持ちになると思うな」など、他の人の気持ちを想像させるような言葉をかけてあげると、子供自身が納得して、注意されたことを気をつけるようになります。
また、5歳~7歳の子供は、社会のルールを学び始めています。なので、ルールやマナーについて丁寧に教えてあげるのも効果的です。