先日、東京都の生後6か月の赤ちゃんが、ハチミツを混ぜた飲み物を離乳食として与えられ、乳児ボツリヌス症で亡くなった、という痛ましいニュースがありました。
同じように小さい子供を持つお母さん、お父さんにとってみれば、他人事とは思えないニュースだったのではないでしょうか。
このニュースを受け、「1歳未満の乳児にハチミツを与えちゃいけないのは常識」などという声が多く上がりましたが、果たして本当にそうなのでしょうか。
今回は、ネットの情報を鵜呑みにすることの危険性もふまえて、この事故について考えてみたいと思います。
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本当に1歳未満の乳児にハチミツNGは常識なのか
1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけない。
それは、母子手帳にも明記されていることから、このニュースを受けて「赤ちゃんにハチミツがNGなのは常識なのでは?」という意見が多く上がりました。
しかし、その一方で
「赤ちゃんにハチミツがダメだなんて知らなかった」
いう声もあり、どうやら、1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけないことを知らなかった方も少なからずいらっしゃったのが現実のようです。
1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけないことが母子手帳に書かれていると言っても、母子手帳って意外と隅々まで読んだことが無いという方も多いのではないでしょうか。
母子手帳以外にも育児雑誌や育児書などに書かれていることも多いですが、これらも、すべてのお母さんが読んでいるというわけではありませんよね。
育児書に頼りたくないという考え方のお母さんもいらっしゃるでしょうし、育児書や雑誌を買うくらいなら節約して子どものために貯金したいという考えのお母さんもいらっしゃいます。
離乳食教室などに参加していればそこでハチミツが赤ちゃんにNGであるという説明を受ける機会があるでしょうが、全てのお母さんが離乳食教室に参加できるわけではないでしょう。
乳児にハチミツを与えてはいけないことを知らないお母さんを擁護するわけではありませんが、もしかしたら、さまざまな事情から、こういった情報を知らないお父さん、お母さんも結構いらっしゃるのかもしれません。
また、日本で1歳未満の乳児にハチミツを与えないように、という呼びかけが始まったのは1987年の事です。
お母さんのお母さん世代、つまり今のおじいちゃん、おばあちゃんの世代では、1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけない、ということを知らない方も多いはずです。
これらの理由から、必ずしも「1歳未満の乳児にハチミツNGは常識」とは、言い切れないかもしれませんね。
乳児ボツリヌス症とは?原因や症状、予防法は?
乳児ボツリヌス症というのは、ボツリヌス菌の芽胞が混入したハチミツを摂取したことなどが原因で、1歳未満の赤ちゃんに起こる食中毒です。
ボツリヌス菌の芽胞を摂取してしまうことにより、赤ちゃんの腸管の中で菌が増殖し、その増えた菌たちが毒素を発生することで症状が引き起こされます。
乳児ボツリヌス症は、神経が麻痺し、筋緊張が低下し、便秘になる、元気がなくなる、哺乳力が弱くなる、泣き声が弱くなる、呼吸がしづらくなる、などといった症状が現れます。
また、潜伏期間は3日~30日程度と言われています。
この恐ろしい食中毒を防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか。
まず、一番の予防法として、1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えないようにしましょう。
ボツリヌス菌の芽胞は熱に強いため、「加熱すれば大丈夫」という考えもNGです。
加熱してもしなくてもどちらもNGですから、とにかく「1歳未満の赤ちゃんにはハチミツを食べさせてはダメ」と覚えておいてください。
インターネットの情報の鵜呑みは危険!?
初めて離乳食を作るという方の中には、クックパッドをはじめとしたレシピサイトなどでいろいろとメニューを検索しているという方も多いのではないでしょうか。
今回調べてみたところ、クックパッドでもハチミツ入りの離乳食のレシピが見つかりました。
完了期向けのものや、1歳未満の赤ちゃんに食べさせる場合には、ハチミツは使用しないでくださいと言った注意書きがあるものがほとんどなのですが、なかにはそういった注意書きが無く、離乳食の初期から使えると誤解させるようなレシピも見受けられました。
クックパッドをはじめとするレシピサイトなどは、一般の方が簡単に投稿することができてしまいます。
レシピサイトにレシピを投稿しているすべての方が、正しい知識を持ち合わせているとは限りません。
なかには間違った情報や、思い込みで情報を載せてしまう方がいらっしゃるのが現実ですし、サイトの管理者が、全てのレシピに目を通すことも不可能でしょう。
たとえばハチミツに関しても、「加熱すれば大丈夫」などといった記載があるレシピもあるようです。
こういった情報を、すぐに鵜呑みにしてしまうのは危険です。
「レシピサイトにレシピを投稿している人たちが、全員完璧な知識を持ち合わせているとは限らない」と思っておきましょう。
レシピサイトに限らず、ネットの情報は取捨選択が大事!怪しい情報は疑ってかかろう
極端に言えば、文字の入力さえできれば、幼稚園児や小学生でも情報を発信することができてしまうような時代なのです。
ですから、ネット上にあふれている情報が、すべて正しいとは言い切れません。
個人のブログやツイッターに限らず、先ほど挙げたようなレシピサイトやキュレーションサイト、まとめサイトなどの情報であっても、間違った情報が絶対無いとは言い切れないのが現実です。
なかには「えっ?」と思ってしまうような情報が、堂々と発信されていることってありませんか?
そういう時には決して鵜呑みにせず、疑ってかかることをおすすめします。
その情報を、さまざまなサイトで調べてみましょう。
できれば、専門家が監修している複数のサイトで調べてみるのがおすすめです。
別のサイトで調べてみたら、やっぱり情報が間違っていた、ということになるかもしれません。
疑わしい情報は、いくつもの信頼できるサイトで情報を調べてみる癖を付けましょう。
誰かに影響を与えるかもしれないことを意識して正しい情報の発信を!
逆に言えば、私たちも情報発信者の側になり得るということになります。
先ほど挙げたようなクックパッドなどのレシピサイトにレシピを投稿している方もいらっしゃるでしょうし、ブログで情報を発信したり、Twitterでつぶやいたりしている方も多いでしょう。
ご自分が情報を発信する際にも、「誰かに影響を与えるかもしれない」ことを常に考えて発信するようにしましょう。
間違った情報や、あまり確かでない情報を発信するのはやめ、責任をもって正しい情報を発信するようにしてください。
「私のブログなんて誰も見ていないから大丈夫。自由に適当に書くわ」と思っている方もいらっしゃるでしょうが、ネット上に情報を出しているのですから、誰も見ていないとは言い切れませんよ。
誰かが知りたいことがあなたの発信した情報と一致すれば、あなたの発信した情報を参考にする人が現れるかもしれません。
もし自分が発信した情報で、誰かが不利益を被ったり不幸になったりするようなことが起こったら・・・!
そう、想像してみてください。
情報を発信した側も、決していい気分ではないはずです。
どんな情報であれ、世界中のどこからでも、誰でも見ることができる可能性があるネット上で情報を発信する際には、正しい情報のみ発信するように日ごろから心がけましょう。
それが、ネット上で情報を発信するすべての人の義務ではないでしょうか。